ソロモン諸島政府観光局ブログ

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ホニアラ付近の沈没船スポット

いきなりですが、ソロモン諸島の観光名所ときいて、みなさんはなにを思い浮かべますか?美しい海でしょうか、それとも自然豊かなジャングルでしょうか?実はソロモン諸島には雄大な自然以外にも、歴史を目の当たりにできる場所があります。アイアンボトム・サウンドと呼ばれている、首都ホニアラがあるガダルカナル島北西の海です。

 

と、ここでクイズです!

アイアンボトムサウンドが表す場所とはどんなところでしょう?

1かつての鉄の採掘場

2ソロモン最大の金属製宝飾品の市場

3多くの艦船、航空機の沈む海底

金管楽器のストリート演奏の聖地

 

正解は、、、3番です!正解された方おめでとうございます! 

 

 

今回は首都ホニアラ周辺の沈没船スポットについて紹介したいと思います。


アイアンボトム・サウンド鉄底海峡、英語: Ironbottom Sound)とは、「第一次ソロモン海戦」や「サボ島沖海戦」これらの激戦地で多くの艦船、航空機が沈み、海底に多数の残骸が残ったことから称されるようになりました。かの有名な戦艦「霧島」や「比叡」もここに眠っています。

ホニアラはこの海に面しているのですが、その沈船の迫力と、冒険心をくすぐるスリリングな光景に魅了され、多くのダイバーがここを訪れるようになりました!今ではレックダイビングが盛んなスポットとなっています。

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アイアンボトム・サウンドの地図

そのスポットの一つにボネギ・ビーチ(bonegi beach)があります。ビーチピクニック用の設備があり、お弁当やバーベキューセットを持参してのんびりすることもできます。このボネギ・ビーチでは日本の輸送船であった「鬼怒川丸」が眠っています。「鬼怒川丸」は、ガダルカナル島で日進が物資輸送を行ったタサファロング海岸で座礁しながらも強行輸送した大型高速輸送船です。1942年11月15日未明、「鬼怒川丸」等の輸送船は猛烈な攻撃の中、物資を届けるため決死の覚悟で海岸へ突き進んだそうです。この「鬼怒川丸」は一部水面から顔を出しているところがあり、地上から間近に見ることができます。

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輸送船「鬼怒川丸」

観光局では、「鬼怒川丸」の動画も配信しています。ぜひご覧ください。

www.youtube.com

もう一つのスポットとして、アイアンボトムサウンドに面したフロリダ諸島にあるツラギ島を紹介します。ホニアラからスピードボートで片道約1時間ほどで行くことができます。ツラギは戦前まで植民地政庁が置かれていたところであり、車は走っておらず、非常にのどかな島です。

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ツラギ島周辺の小島
 

ツラギの沖には日本軍が水上機の基地としたガブツ島(Gavutu)とタナンボコ島(Tanambogo)があり、さらに入り江をボートで30分ほど行くと、マングローブに覆われた「トウキョウ・ベイ」と呼ばれる湾で駆逐艦「菊月」を見ることができます。「菊月」は大正生まれ最後の駆逐艦で、護衛艦や支援艦として活躍していました。艦名は陰暦9月のことをいい、この名は海上自衛隊の「きくづき」に継承されています。しかし、1942年5月4日に珊瑚海海戦の前哨戦で撃沈されてしまい、今に至ります。地球温暖化によって海面が上昇し、「菊月」は年々海面下に沈んでいってしまって風化が進んできています。2020年6月27日に第四砲身は舞鶴市森の彌伽宜神社(大森神社)に奉納されたそうです。この砲身は現在神社の境内に設置されています。

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駆逐艦「菊月」


また、米軍の輸送艦LST342という沈船も菊月があるトウキョウ・ベイで見ることができます。菊月との距離は1キロほどです。LST342は1943年7月18日に、日本の潜水艦Ro-106の魚雷を受けて沈没してしまいました。船尾は一瞬にして沈んでしまいましたが、船首は辛うじて残り、今の場所へ使用可能な物資を確保するために移されたそうです。菊月も、米軍が今の場所へ移したそうです。船首はこの場所で一時期艦隊の郵便局として使われました。

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米軍の輸送艦LST342

 

実はクルーズ船も眠っています。こちらはンゲラ諸島(フロリダ諸島の別称)の岸にあります、クルーズ船ワールドディスカバラー号です。

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クルーズ船ワールドディスカバラー号

2000年にソロモン諸島岩礁に乗り上げて座礁したものがそのまま残されています。このように戦艦だけではなく、クルーズ船も見ることができます!詳しくはぜひこちらの記事もご覧ください!

 

いかがでしたか?沈没船を見ていると、この船が活躍していたころや、それに乗船していた方々とその船にまつわるドラマなどに思いをめぐらせることができます。それがより沈船の景色を魅力的にしているのかもしれませんね!また、太平洋戦争の慰霊巡拝をしに訪れる方々も多くいらっしゃいます。戦艦などの沈船は、わたしたちに戦争の歴史、平和の大切さを伝えるシンボルでもあります。

これらの沈船スポットに魅了された方々、ぜひソロモン諸島に足を運んでこの壮大な景色をその目に焼き付けて下さい!

 

(文/西浦理佐、編集/馬場千智)

 

参考文献

https://www.asahi.com/articles/ASJDF512VJDFPTIL01C.html

https://twitter.com/solomon_japan/status/1256925127427547136?s=20

https://twitter.com/ishinori/status/1033792200901947392?s=20

http://www.asahi.com/special/gallery/senkano_zankyou/sea1.html

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/292653

https://en.m.wikipedia.org/wiki/USS_LST-342

https://twitter.com/kikuzuki_hozon/status/1270921137694707712?s=20

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E6%9C%88_(%E7%9D%A6%E6%9C%88%E5%9E%8B%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6)

https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89_%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81

https://pic.or.jp/ja/wp-content/uploads/2018/06/fc88e78a227b2c780ed317c94b4e218a.pdf

地図

File:Wrecks in the Ironbottom Sound.jpg - Wikimedia Commons