ソロモン諸島の共通語、ピジン語の歴史
Halo! みなさんこんにちは!
ソロモン諸島で使われている言語を知っていますか?
ソロモン諸島の公用語は英語ですが、共通語は砕けた英語であるピジン語です。
(※ピジンとは言語の区分を指すこともあり、異言語間の意思疎通のために作られてきた言語の種類のことをいい、世界中にありますが、本記事のピジン語は、ソロモン諸島の公用語のピジン語です)
それでは突然ですが、本題に入る前にクイズです💡
- ピジン語で「水」は何と言うでしょう?
①マジ
②ワタ
③ワイ
④ミズ
答えは後ほど...
下の画像の右上部分にはピジン語が使われています↓どことなく英語に似ていますね...!
簡単なピジン語のあいさつやフレーズはこんな感じです↓
おはよう Monin(モニン) こんにちは Halo(ハロ) じゃあね、またね Lukim iu(ルキム ユ) いくらですか? Haomas(ハオマス) 了解! Set!(セット!) これをお願いします des wan please(デス ワン プリーズ) |
英語に似ているものもありますが、発音はカタカナ発音なので日本人のみなさんは馴染みがあるのではないでしょうか✨かわいいですよね(笑)
ぜひソロモン諸島のピジン語を日常生活で使ってみてください(笑)
今回はそんなピジン語の歴史を紹介したいと思います🇸🇧✨
ピジン語の起源は、19世紀頃に行われていた太平洋貿易の専門用語にあります。
この初期のピジン語は19世紀後半のプランテーション時代に発展していきました。この時代にはオーストラリアのクイーンズランドなどへの労働力調達が行われ、 プランテーションでは、ピジン語が同じ言語を持たないメラネシア人労働者や、メラネシア人とヨーロッパ人監督者との間で話される共通語として発達しました。 そして契約が終わったソロモン人や1904年以降労働力調達が禁止されて本国に送還されたソロモン人がピジン語をソロモン諸島に持ち帰ったのです。(労働力調達について詳しくは過去の記事「ソロモン人の暗い歴史 ブラックバーディング」へ)
イギリス植民地時代には人の移動や交流によりピジン語が発展するとともに話者も増えていきました。ソロモン諸島がイギリスに併合されると、ピジン語は現地の人々がイギリス人の植民地将校や民族や言語が異なる他のソロモン人と交流するための手段となりました。
また、プランテーションによってソロモン諸島の経済が発展し、ピジン語はその中での共通語として発展していきました。 プランテーションでは多くの労働者が必要であったため、様々な島から人材が集められ、ソロモン諸島の人々はプランテーションと地元を行き来するようになりました。その結果、プランテーションの労働者や監督者にピジン語が広まり、往来や移住を経て何世代にもわたる人々がピジン語に触れ、ピジン語の話者人口は増えていったのです。
第二次世界大戦を経てピジン語にさらに英語が融合されていきました。第二次世界大戦中、アメリカ軍がソロモン諸島に上陸すると、多くのソロモン人男性がソロモン諸島労働隊や英領ソロモン諸島保護国防衛軍などの軍隊に入隊し、ソロモン人兵士はピジン語や時には英語でアメリカ人兵士とコミュニケーションをとりました。 この時期から、アメリカ人が話していた英語との接触から、ピジン語により英語の要素が加わったのです。
人間が時間とともに変化していくのと同じように、言葉も絶えず変化していくものなんですね。
それでは現代におけるピジン語はどうなったのでしょうか?
先ほど述べたように、ピジン語は19世紀の労働力調達に起源をもつため、当初は男性が主に使用しており、女性や子供はあまり使用していませんでした。しかし、都市化が進み、初等教育が普及し、現金経済が発達・強化し、交通網が発達して村々とピジン語を話す主要地域である首都ホニアラとの間を行き来できるようになったことで、男性だけでなく社会の全ての構成員がピジン語を使用するようになりました👨👩👧👦
そしてピジン語はその後も発展を続け、ソロモン諸島の主要な言語となりました。
ピジン語は現在、ソロモン諸島の全域で話されています。また、辞書やピジン語訳の聖書はありますが、ピジン語はほとんどが話し言葉であり、文法を標準化するにはいたっていません。
ちなみに、同じメラネシアの国であるパプアニューギニア(地図左上)ではトクピシンが、バヌアツ(地図中心)ではビスラマが公用語となっています。
いかがでしたか?
このようにピジン語はソロモン諸島の歴史に大きく影響を受けています。ぜひこの機会にソロモン諸島の歴史にも興味を持っていただいて、過去の記事も読んでみてくださいね!
ちなみに、クイズの答えは「②ワタ」でした!ちなみに①はスワヒリ語、②はハワイ語、④は日本語です。正解できましたか?
ソロモン諸島政府観光局公式Twitterではピジン語のクイズや#ジブリで学ぶピジン語も発信しています!
#ジブリで学ぶピジン語
— ソロモン諸島政府観光局(公式) (@solomon_japan) 2020年11月2日
みなさま既にご存じのように、
ピジン語はくり返しがち。
「走る」も、例にもれず
🏃🏃🏃ランラン🏃🏃🏃
といいます(笑) pic.twitter.com/eI524W82aI
ピジン語で「刺す」はポッケム‼️といいます。ぽっけむ‼️ pic.twitter.com/q3TsJNVMJT
— ソロモン諸島政府観光局(公式) (@solomon_japan) 2021年3月11日
ぜひチェックしてみてくださいね。
それではみなさん、Lukim iu!(またね!)
(文/村上和、編集/馬場千智)
〈参考文献〉
SOLOMON ISLANDS PIJIN "A Brief History"(参照2021-03)
https://solomonislandspidgin.com/a-brief-history-of-solomon-islands-pijin/
Solomon Islands Historical Encyclopaedia 1893-1978 "Solomons Pijin English"(参照2021-03)
https://www.solomonencyclopaedia.net/biogs/E000299b.htm
〈画像〉ソロモン諸島政府観光局日本事務所は以下の画像を所有しません。
Scott Zona, “pidgin sign in Solomon Islands”, flickr, https://www.flickr.com/photos/scottzona/3678103937
World Fish, "Youth collecting sea cucumbers in Solomon Islands.", flickr,
https://www.flickr.com/photos/theworldfishcenter/32345786627
"I was present for the Solomon Islands Independence Ceremony on 7 July 1978", Arbil44, Wikipedia Commons
"File:Melanesia regions map.png", Peter Fitzgerald, Wikipedia Commons(編集/村上和)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Melanesia_regions_map.png