女子マラソン出場、シャロン選手
Team Solomonの選手紹介、最後は女子マラソンに出場するシャロン・フィリスア選手です。
シャロン選手は27歳のママさん選手。三選手の中で唯一2016年のリオ五輪にも出場したベテラン選手で、今回の三選手の中でもリーダー格になります。個人的予想ですが、開会式入場行進の旗手はシャロン選手が務めるんじゃないかと睨んでいます。
シャロン選手はソロモン諸島のアスリートの中でも特に今回の東京オリンピック出場を一番楽しみにしていたひとりでした。初めての訪日に向けて日本語の勉強もしていたんだそうです。でも残念ながら2020年3月に延期が発表され、ショックを受けたシャロン選手は目標を失ってしばらくはスランプが続いていたんだそうです。
じつはソロモン諸島、二十歳を過ぎると女性は結婚するものだという社会通念がまだ広く残っています。そして、結婚したら当然家庭に入って家族の世話をすることが仕事、女がスポーツ続けたいなんて何考えているの?的な雰囲気があります。
そんな中でシャロン選手は、結婚しても、子どもができても競技を続けることを選択しました。彼女のコーチは「粘り強さ、頑張りきる根性は、自分が見てきた選手の中でもピカイチ」と評していましたが、幸い家族の理解もあって今も陸上選手として第一線で活躍しています。そして「そんな彼女が活躍する姿を、あとに続く若いアスリートや周囲の人たちが見ることで、少しでもソロモン諸島のスポーツ環境が変わっていってほしい」とスポーツ関係者は期待しています。そんな彼女にとって、大きな目標だった東京五輪の延期は大きなショックだったようです。
今年に入り、徐々に五輪が近づいてくる中、いち早く男女を通じてただひとりの陸上代表に内定したシャロン選手は、再び意欲的に練習に取り組んで、今回の女子マラソン出場を勝ち取りました。じつは希望していたマラソンで出られるかどうかはギリギリまで不透明で、もしかしたら5000mになるかもしれないと言われていましたが、5月末にマラソン出場にGOが出たときには飛び上がって喜んでいたそうです。
ソロモン諸島からオリンピックのマラソンに出場するのは史上初。持ちタイムは3時間8分56秒で、参加選手の中でも一番下のクラスかもしれません。3時間を切ることを目標に、少なくとも自己ベストは更新したい、と練習に励むシャロン選手にとっては、北海道とはいえ真夏の日本、記録を出すには厳しい条件です。でも常夏の国ソロモン諸島の選手ですから、暑さは慣れたもののはず。
ぜひ2年越しの夢だった日本でのマラソンで、満足できる走りを見せてくれることを期待しています。
女子マラソンは8月7日(土)午前7時スタートです。
Go! Sharon! Go!
(文責:ソロモン2020応援団 垣永亮平)